岩科診療所開設、1年延期 松崎町調整、コロナ対応優先


松崎町が2021年4月の開設を目指している岩科診療所について、開設を1年程度延期する方向で調整していることが21日までの複数の関係者への取材で分かった。新型コロナウイルス感染拡大で、経済対策への財源確保や診療所の運営母体が新型コロナ対応を優先させるためとみられる。
 長嶋精一町長は16日、診療所を運営委託する地域医療振興協会(東京都)の吉新通康理事長らと面会。開設を22年4月ごろに先延ばしする方向で意見がまとまったという。万全な形での開設が難しいと判断した。
 町が昨年発表した資料によると、岩科診療所は風邪などの軽微な症状を診察する1次救急医療機関を想定。開設初年度から5年間で約7300万円の赤字経営を見込んでいた。
 ただ、新型コロナ流行で町税収の減少が予想され、さらに感染拡大の第2波、第3波の襲来が懸念される中、行財政負担をどう軽減していくかが大きな課題となる見通しだ。
 町は今後、診療所の赤字補塡(ほてん)や医師の受け入れ体制など詳細な運営方法について同協会と協議していく方針。診療所の建物は旧岩科幼稚園(岩科地区)の既存園舎を改修。20年度当初予算に盛り込んだ事業費約1億5000万円は来年以降、再び予算措置するという。
 事業を巡っては、町議会が6月定例会で計画延期を求める決議を可決し、財源を経済対策に充てるよう訴えている。

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