茨城県内の医療機関 新型コロナ第2波備え対策推進 PCR検査態勢強化


新型コロナウイルス感染症の第2波に備え、医療機関が対策を進めている。茨城県内では20日、46日ぶりに新規感染者を確認。感染症指定病院ではPCR検査態勢を強化し、中小規模の病院でも入り口での自動検温機や、滅菌効果の高い消毒機を置いて効率化を図る。夏場の熱中症患者と発熱患者の見極めにも神経をとがらせる。第1波での経験を踏まえ、病院関係者は「医療崩壊を防ぐ態勢をさらに高める」と身構える。

土浦市神立中央の神立病院(病床数160)。来院者を顔認証カメラで自動で検温しモニター画面に映し出す機械を正面入り口に取り入れた。設定温度を超えていれば、体温計で測り、発熱が確認された場合は本館隣の建物で診察を行う。

当初は職員4人が対応してきたが、4月中旬に自動に切り替え1人が担当している。感染担当の永滝友子看護師は「職員は常に至近距離で患者と接するため感染危険を伴う。機械の導入で精神的負担も減らせた」と話す。

同病院は院内感染の予防のため、紫外線を照射して滅菌する米国製のロボットも導入。外来部門をはじめ、トイレや手術室、検査室などで毎日計画的に滅菌作業を行っている。従来は人手で消毒していたが、1部屋20〜30分かかる上、完全な滅菌は難しい。同ロボットを使うと5分で滅菌が完了する。平塚圭介理事長は「患者さんの安心度を高める手段として、より効果が高い。医療従事者もストレスを減らして業務に集中できる」と強調した。

今後課題となるのは熱中症の疑いがある人の扱いだ。体温が高く倦怠感がある症状は新型コロナと似ている。同病院は発熱外来は行っていないが、発熱のある人は別棟で対応し、救急搬送の場合は処置室で待機して診察。疑いのある場合は個室に隔離し、他の病院の発熱者外来を紹介したり、保健所を通じてPCR検査を求めたりする。「ルールや診断に基づききちんと見極めて対応していくことが重要。医療崩壊を内部で起こさない、最小限に食い止める努力を続けたい」(平塚理事長)と構える。

感染症指定病院の土浦協同病院(病床数800)では、PCR検査の態勢を強化した。従来の外部委託に加え、院内でできる回数を1日3回に増やし、検査当日か翌日には結果が分かるようにした。

サージカルマスクや防護服といった医療物資も今後の感染増を見越して備蓄を増やしている。酒井義法院長は「リアルタイムでPCR検査することで対応を迅速にできる。東京との人の行き来が増える中、コロナを院内に侵入させない取り組みを維持していく」と見据えた。

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