発熱外来 福島県内全域に 空白地に4カ所増設


新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、県は発熱症状がある患者を一般外来と区別して診療する発熱外来を、新たに四カ所程度増設する。既に市町村や医師会などにより開設されている九カ所と合わせて十三カ所となり、県内全域を細かく網羅した医療提供体制が整う。設置されていない市町村を中心に新設の調整を進める見通し。県は長期的な体制を維持するため、市町村や医師会の運営費を負担する方針。十九日に県庁で開かれた県新型コロナウイルス感染症医療調整本部会議で、県が発熱外来の新設方針を示した。県は発熱外来の設置を支援するため、新たに四カ所程度の開設に向けて関係機関と調整を進めている。発熱外来のない空白地域への開設を目指しており、受診しやすい環境を整えることで、県民の利便性を向上させる考え。市町村の動きに呼応し、さらなる増設も視野に入れる。四月八日に県内で最も早く開設した相馬市をはじめ、中核市を除く市町村が主導して既に設置した発熱外来六カ所については、県が運営委託する形で人件費や施設整備費などの運営費を負担する。設置主体の市町村などと調整がつき次第、委託契約を結ぶ予定。伊達市の発熱外来は、県が開設段階で市に運営を委託している。中核市の郡山、いわき両市は県と同様に国から直接財源を確保できるとし、県は運営委託しない。今後の感染拡大の第二波や発熱を伴う風邪などが流行する秋以降の需要増加を見据え、県は来年三月末まで県内各地で開設を維持する考え。県は地域外来(発熱外来)の運営事業費として、二〇二〇(令和二)年度五月補正予算で約一億七千万円を確保した。二十三日に開会予定の六月定例県議会に提出する二〇二〇年度一般会計補正予算案には追加で約三億六千万円を計上した。財源は国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金などを活用する。県新型コロナウイルス感染症対策本部は「県民にきめ細かな医療を提供するため、市町村による設置を積極的に支援したい」としている。福島市はPCR検査体制の強化に力を入れ、県内初のドライブスルー方式で検体採取できるPCR検査専門外来を設けている。この他、郡山市の星総合病院や南東北グループなど民間主体の発熱外来もある。※発熱外来 新型コロナウイルス感染者の症状の一つである発熱に特化して診療する。院内感染防止のため、プレハブなどで診察室を設け、他の症状の患者と区分けしている。地元医師会などの医師が当番制で対応に当たり、PCR検査が必要な患者を速やかに帰国者・接触者外来につなぐ。帰国者・接触者外来の負担が減り、検体採取を効率化できる。

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