新型コロナ増殖抑制の仕組み解明 群馬パース大などの研究チーム


新型コロナウイルスの治療薬候補として注目されているぜんそく治療薬「シクレソニド」について、群馬パース大(群馬県高崎市)は17日、同大大学院の木村博一教授(59)の研究チームが群馬大などとの共同研究で、ウイルスの増殖を抑える仕組みを解明したと発表した。治療薬候補になり得る裏付けを示すことで、医療現場で使いやすくなるほか、新薬の開発に役立つことが期待される。◎仕組み解明で導入に前進 新薬開発にもつながるか シクレソニドは吸入するタイプで、新型コロナの軽症、中等症患者を中心に臨床現場での使用が始まっている。これまでに新型コロナのゲノム(全遺伝情報)の複製を抑制することが報告されているものの、仕組みは明らかになっていなかった。 木村教授は高性能コンピューターで分子モデルのシミュレーションを行い、ウイルスのゲノム複製に関係するタンパク質にシクレソニドが及ぼす作用を分析した。複製の際に生じた変異を修正する酵素に対し、その働きを抑え、複製そのものを阻害することが判明した。 木村教授は「アビガンなどが注目されているが、シクレソニドは副作用が少なく、臨床医にとって使いやすい。似た構造の物質を研究すれば新薬開発につながる」と話している。 研究は木村教授が企画、主要な実験を行い、杏林大や国立感染症研究所なども参加。成果に関する論文が13日付で、アレルギー・臨床免疫学の専門誌「ジャーナル・オブ・アラジー・アンド・クリニカル・イミュノロジー」の電子版に掲載された。 新型コロナに関する研究を巡り、木村教授は今回とは別に判定時間の短いPCR検査キットを民間企業と開発。群馬パース大はキットを用いた検査業務にも乗り出している。

関連記事

ページ上部へ戻る