抗うつ薬がコロナ治療に効果 九州大など、細胞への侵入阻害確認


 九州大大学院などの研究グループは17日、既存の抗うつ薬「クロミプラミン」(商品名アナフラニール)に、新型コロナウイルスが細胞内に侵入するのを妨げ、侵入後もウイルスの増殖を抑制する効果があることを突き止めたと発表した。動物実験に続いて患者らの臨床試験を進める。

 昨年5月に研究に着手したグループは、ウイルスの細胞内への侵入を阻害する、という点を重視。1200種類の既存薬から13種類に絞り込み、試していく中でクロミプラミンの効果が大きいことが分かった。

 ウイルスの増殖抑制についても、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)に由来する心筋細胞などを使った実験で効果があることを確認。ウイルス侵入の前と後それぞれの状態で投与すると、いずれの場合も増殖を抑えた。

 さらにグループは、政府がコロナ治療薬と認める「レムデシビル」とクロミプラミンは効果を発揮するメカニズムが異なるため、併用することで効果が増幅することも実証した。変異ウイルスにも一定の効果が期待できるという。薬学研究院の西田基宏教授(心臓生理学)は「臨床の実例を積み重ね、できるだけ早く実用化したい」としている。(金沢皓介)

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