助産師が遠隔勤務、女性の悩みに対応 ネクイノ


婦人科系オンライン診察・相談アプリ「スマルナ」を展開する新興企業のネクイノ(大阪市)では、助産師がオンライン相談で活躍している。夜勤の負担が重い病院勤務の場合、子育てやプライベートとの両立が難しく、離職後に復帰できない助産師も少なくないというが、同社は時間や場所を選ばない新しい働き方を提案している。「これって妊娠していますか?」「生理周期の数え方を教えてください」。助産師の上林比呂己さん(32)は次々に寄せられる相談にパソコンの画面上のチャットで答えていく。相談は10~20代の女性からが中心。状況に応じて病院での受診を促すこともある。ネクイノは、月経困難症や避妊など相談しにくい悩みにオンラインで対応。無料相談や医師による診察を経て、必要に応じ有料でピルを処方・郵送するサービス「スマルナ」を展開する。上林さんら20人の助産師が交代で相談業務を担当する。パソコンやスマートフォンがあれば遠隔地からでも働けるのが特徴だ。助産師は「病院またはクリニックでの勤務が大半」(上林さん)であり、お産の現場は24時間態勢で夜勤も不可欠。負担は重く、30代前後で離職して復帰しない人も少なくない。上林さんも地域の周産期医療を担う総合病院で、多いときで月9回ほど夜勤をこなした。その後、クリニックに勤めたが、夜勤をしない場合はパートとして働く選択肢しかなかったという。上林さんは2020年にネクイノに入社。正社員として週40時間の枠の中で、自宅や同社の展開するクリニックからオンライン業務を行う一方、個人の副業として産前産後のサポートや性教育などもこなす。ネクイノの仕事は、会社と相談して始業・終業時間を選べ、勤務中に1時間ほど中抜けして副業のミーティングを行うなどの調整も可能だ。「個人でやりたいことと、会社員だからこそできることの両方がバランスよく実現できる」と語る。ネクイノは外資系製薬会社出身の石井健一社長が16年に設立。社員は原則、働く場所や時間に縛られない「フルリモート・フルフレックス制」で勤務する。新型コロナウイルスの影響でオンライン診察・相談のニーズは高まっており、相談件数は多いときで1日千件近くに上る。今後、助産師らの採用も増やしていく方針だ。(斎藤毬子)

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