東北の医療機関で受け入れ態勢拡充急ぐ 病床の確保へ協力依頼


新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東北の医療機関が患者受け入れ態勢の拡充を急いでいる。感染者が入院できる「感染症指定医療機関」の病床の不足が懸念される自治体もあり、一般病床の利用などに向けた調整が進む。重症者の増加に備え、緊急性のない治療を制限する動きもある。 宮城県内では指定医療機関の7病院に、新型コロナ感染者の入院に対応できる病床が計29ある。2日現在で10人の患者が入院。感染者が増え続けている仙台市は市立病院の10床について「満床ではないが、他の指定医療機関に余裕があればお願いしたい状況だ」(健康安全課)と説明する。 患者急増に備え、県は感染症指定以外の病院との調整を進めており、これまで4病院に協力を依頼した。さらに軽症の感染者を巡り、村井嘉浩知事は3日、国が求める宿泊施設や自宅での療養について「検討している最中」と述べた。 各県も病床確保などを急ぐ。福島では3日現在、指定6病院(計32床)のうち24床に空きがある状態だが、感染拡大に備えてさらに計20床を確保する方針だ。 秋田では3日現在で指定9病院(計30床)のうち7床が埋まった。県は今後、8カ所の一般病院を含め最大80床を確保する計画を立案した。保健・疾病対策課の担当者は「最悪の場合を想定し、できるだけの対応を検討したい」と話す。 山形県は新たに県立中央病院(山形市)の50床を、他の患者と動線を分けた専用病棟に転換する方針。3日現在、感染者が確認されていない岩手でも、県が指定9病院(計38床)が満床になった場合に備え、一般病院を含めた結核病床91床の利用を想定している。 重症者の治療に備えてマンパワーを確保するため、診療体制を見直したり、院内感染に備えた対策を強化する動きもある。 東北大病院は3日、歯科診療部門で、緊急性のない治療は他の病院の利用を求めるなどの方針を公表。歯科以外の部門でも電話による薬の処方などを行い、感染リスクの低減を図る。 冨永悌二院長は「重症者の救命のために少しでも余力を確保したい」と強調。「感染者の受け入れのため、医療機関同士が協力し、役割分担を果たさなければならない段階だ。防護服などの不足も懸念され、行政には早期の供給をお願いしたい」と求めた。

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