「地域食堂」と県栄養士会が連携 岡山、運営者の負担減り内容充実


食事を囲んで幅広い世代が交流する「博士の家みんな食堂」(岡山市北区広瀬町)と、岡山県栄養士会の連携活動が始まった。栄養士が献立や調理に協力。食堂運営者の負担が減り、開催回数を増やせ、充実したメニューを提供できる。県内各地で「子ども食堂」など食を通じたコミュニティーの場が広がっている中、初めての取り組みという。 ニンジンとインゲン、青じその豚肉巻き、大豆やこんにゃくが入ったひじきの煮物は隠し味に干ししいたけ、具だくさんのみそ汁…。管理栄養士4人が調理した連携初回(17日)の献立を県栄養士会の坂本八千代会長が説明する。 「うまみを生かした薄味がポイント。塩分控えめで、タンパク質や野菜を十分取れる」 会場のコミュニティーハウス「博士の家」の庭で栽培し、坂本会長が世話をしている野菜も使った。幼児から90代まで約30人が味わい、みんな食堂の山下明美代表は「味や栄養はもちろん、大人数分を手際良く作るのはさすがプロ」と感心していた。 みんな食堂は子育て支援の民間団体「CAPおかやま」が、多世代の「居場所」として昨年6月に始めた。新型コロナウイルスの影響で2月下旬に休止するまでは月2回の開催だった。坂本会長から連携の打診があり、7月から月3回に増やして再開した。 食堂スタッフは調理に費やしていた時間を運営事務や訪れた人たちとの対話に当てられる。17日は栄養士会の紹介で医師や看護師も加わり、貧血検査や血圧測定のコーナーを設けた。訪れたお年寄りらは医師や管理栄養士らと健康談議に花を咲かせていた。 県栄養士会にとっては地域貢献になり、市民向け食生活相談事業などを会場で紹介できる。さらにコロナの収束状況をみて、栄養士を目指す学生の実習の場にもしたい考えだ。 実現すれば食堂は月4回も可能になる。山下代表は「孤食になりがちなお年寄りやたまには息抜きしたい子育て世代もいる。開催を心待ちにしている人のためにも、このつながりは心強い」と言う。 県内に40カ所程度あるとされる子ども食堂など“地域食堂”の多くが月1、2回。マンパワーや資金の確保が運営課題となっている。県栄養士会の会員は約1600人。坂本会長は「各地でこうした連携を広げていきたい」と考えている。 ◇ 博士の家 岡山大病院長などを務めた医学博士の故・津田誠次氏が1932(昭和7)年に建てた古民家を改修。2019年2月、地域のコミュニティーハウスとして開所した。みんな食堂は毎月第2・3・4金曜午後6時~8時。県栄養士会は第3金曜を担当する。予約制で中学生以上300円、小学生100円、就学前無料。手洗いや消毒を徹底し、食卓の間隔を開け、家族やグループごとに分けるなど新型コロナウイルスの感染防止策を講じている。問い合わせはCAPおかやま(080―6339―9740)。

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