〈診察室から〉適度なアルコール量って…?(1)  「酒」の誤解、日本語は難しい


血液検査で肝臓の数字が高い人がおられました。ガンマGTPの検査値が特に高く、アルコールをかなり飲まれているのは間違いないと思われました。「酒は飲まれますか」と聞いたところ「飲まない」とのこと。そんなはずはない、と思い「本当に酒は飲まれませんか」としつこく聞き直したところ、「酒は飲まないが焼酎は飲む」と言われました。私は「酒」とはアルコール飲料の意味で質問していましたが、この人は「酒」=「日本酒」だったようです。焼酎を飲んで車を運転しても「飲酒運転」にならないのでしょうか、と逆に突っ込んでみたくなったのですが、これは決して笑い話ではありません。このように答えられた人は今まで1人や2人ではありません。決して少なくはないのです。まだ続きがあります。「では焼酎はどれくらい飲まれていますか」と聞くと、「コップ2杯」とのこと。「どうやって飲まれていますか。お湯割りですか、ロックですか」と聞くと、「6:4のお湯割りで飲む」との回答。「焼酎1升(1.8L)は何日間持ちますか」と聞いたら、「1週間は持たない。5日間くらい」。「お湯割りでコップ2杯であれば、元の焼酎は1合ちょっとでしょうから10日くらいは持ちませんか」と問うと、ストレートの焼酎コップ2杯(約2合)を、お湯で割って飲んでいるとのことでした。決してふざけているようには見えず、日本語は難しいと痛感しました。(佐賀大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター専任副センター長 江村正)

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