視覚障害者に寄り添う 自立生活を支援、福島・歩行訓練士の女性


視覚障害者が自立して生活できるよう、白杖やパソコンの使い方など、生活全般に関わる動作を指導する「歩行訓練士」が、県障がい者総合福祉センターで活動している。全国各地の施設で15年にわたり視覚障害者の訓練に携わってきた渡辺純代さん(41)=福島市。渡辺さんは「もし視覚に不安を感じていたり、周りに視覚が不自由な方がいれば、相談してもらえるとうれしい」と話している。歩行訓練士を巡っては、視覚障害者の環境整備を目指す「歩行訓練と日常生活訓練を願う当事者の会」が昨年、社会復帰の訓練充実のため、県内への配置を求めて県に署名を提出していた。県内には歩行訓練や日常生活を送るためのリハビリ施設がなかったため、施設への入所を希望する視覚障害者は県外の施設を利用していた。在宅での訓練を希望する視覚障害者には県外から職員が派遣されていたという。県内に歩行訓練士が配置されたことで、今後は視覚障害者が自宅で訓練を受けやすくなる。渡辺さんは大学卒業後、国立障害者リハビリテーションセンター学院(埼玉県)で歩行訓練士の資格を取得した。福祉の道を選んだのは、大学在学中にボランティアで訪れた福祉施設で視覚障害のある女性に出会ったのがきっかけだった。女性は視覚以外の障害はなかったが、日常生活は施設の職員に任せきりになることが多かった。その様子を見た渡辺さんは「きちんとケアすればほかのこともやれるのではないか」と強く感じ、訓練士の仕事に魅力を感じたという。渡辺さんは今年4月から県のセンターに異動になった。新型コロナウイルスの影響で活動は制限されたが、緊急事態宣言の解除を受けて6月からは約10人の視覚障害者から申し込みが入っている。「今後も受け入れに対応していきたい」と意欲を語る。

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