院内学級にオンライン授業導入 コロナ対策で倉敷中央病院


感染症指定病院の倉敷中央病院(倉敷市美和)で、小児がんなどの病気と闘う小中学生が学ぶ「院内学級」にオンライン授業が導入された。新型コロナウイルス感染防止と学ぶ機会の両立の観点から倉敷市教委と連携し、県内初の試みとして6月に本格実施。対面方式を再開させた今月からは一部授業に限っているが、スムーズな運用を探りながら新型コロナの第2波に備える。 「枕草子の作者は誰で、成立年代はいつですか」。6月中旬の同病院。入院病棟にいる中学2年の男子生徒(13)に対し、パソコン画面から質問が飛ぶ。院内学級担任を務める倉敷市立東中(同市平田)の吉川里美教諭による、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使った授業だ。 生徒は即答した後、一節の「春はあけぼの…」を暗唱。主治医や看護師長らのチェックでもらえる合格サイン約20個を示し、笑顔を見せた。「先生の顔を見ながら勉強すると力がわく。学校に戻って遅れが出ないようにしたいので、オンライン授業はうれしい」と前を向く。 同病院の院内学級は児童生徒6人(8日現在)。学区となる東中と倉敷東小(同市鶴形)にそれぞれ担任教諭がいる。通常は病院に出向いて対面で指導しているが、国の全国一斉休校要請を受けた小中学校の臨時休校に連動して3月から休みに。病院への立ち入りも制限された。 院内学級での学びの機会を闘病の支えとする子どもが多いため、両校では4月中旬から携帯電話を使って音声での指導を開始。同病院と市教委が協力し、6月上旬に病室と学校をズームでつなぐオンライン授業に本格的に乗り出した。東中の授業では病室から複数の生徒が同時に参加したり、有村省吾校長が進行を見守ったりした。 今月から病院への立ち入りを緩和し、中学の一部科目を除いて対面授業に戻っているが「感染状況に応じて、オンラインと対面のバランスを考え、より運用しやすい体制を整えたい」と同病院。倉敷東小の坂尾幸一校長は「初めてオンラインに取り組んで、有効な手法であると確認できた。広く普及すると良い」と歓迎している。

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