PCR検査対象拡大へ 新型コロナ対策で福島県


県は新型コロナウイルス感染拡大の第二波に備え、新たな感染者が出た場合、濃厚接触者に加えて接触の可能性がある人もPCR検査の対象とする。学校や高齢者福祉施設、医療機関など接触機会が多く、感染者が発生すればクラスター(感染者集団)化する懸念がある施設での実施を想定している。検査対象を柔軟に拡大することで、感染者の早期発見と二次感染の防止につなげる。内堀雅雄知事が六日の定例記者会見で、今後のPCR検査について「感染者の周辺を幅広く捉え、多くの人に早めに検査を受けてもらうことで(感染拡大を)封じ込める」と方針を示した。県は感染者が所在する施設など個別の状況を踏まえ、担当する保健所が検査対象とする接触者の範囲を判断する。学校で児童生徒の感染が確認された場合に同学年の全員を対象としたり、高齢者福祉施設で感染者と同じ棟にいた入居者や職員らを対象としたりするケースを想定している。医療機関で感染者が発生した場合には医師や看護師、入院患者らを積極的に検査する方向だ。県はこれまで、感染者が出た場合の検査対象は原則として無症状者を含む全ての濃厚接触者としていた。対象範囲を広げることで、無症状の感染者らを迅速に把握し、市中感染による大規模な拡大を防ぐ。県内では現在、一日当たり最大五百七十人分の検査が可能となっている。これまでの一日の検査件数は百六十八件が最多で、検査対象を一定程度拡大しても対応できると判断した。福島民報社と福島テレビが共同で実施した県民世論調査(第三十回)では、新型コロナウイルス対策として国や県に優先的に求める事項について「希望者全員がPCR検査を受けられる環境整備」との回答が30・0%となるなど、検査対象の拡充を求める声が上がっている。一方、県は県内で出産する妊婦については希望者全員にPCR検査を実施する方針を示している。新規感染者が連日、百人以上となっている東京都では、新たな感染源として懸念されているホストクラブなどの「夜の街」対策として店の従業員らに徹底的なPCR検査を促し、市中感染の抑止に努めている。

関連記事

ページ上部へ戻る