全医療圏に分析機器 福島県内PCR検査 10台配備、即日結果判明


新型コロナウイルス感染拡大の第二波に備え、県は県内六つの二次医療圏に短時間で分析可能なPCR検査機器を計十台配備した。検査機器を持つ分析機関がなかった県南、会津・南会津、相双では、これまで診断結果を得るまで二日かかるケースもあったが、全医療圏で即日判明できる体制になった。感染の疑いのある患者を迅速に検査し、二次感染を防ぐ。県が三日に開かれた六月定例県議会福祉公安委員会で示した。県が新たに導入した検査機器十台の二次医療圏ごとの配備数は【図】の通り。人口の多い県北と県中に各三台を振り分け、県南、会津・南会津、相双、いわきは各一台とした。いわき市には、県が一日当たり最大二百五十人分の検査を委託している江東微生物研究所があるため、機器の振り分け数を一台にした。購入費は県の今年度一般会計の予備費を活用した。県内のPCR検査の分析機関は県衛生研究所、江東微生物研究所のほか、福島市にある福島医大、中核市の福島、郡山、いわき三市の各保健所の計六カ所ある。二次医療圏で見ると、県南、会津・南会津、相双になかったが、今回の導入で空白地が埋まった。今回導入した機器は、一台につき一日当たり最大十二人分を検査できる能力があるため、福島県の検査体制はこれまでの機器や県外の分析機関への委託と合わせて一日当たり最大五百七十人分を検査できるようになった。県薬務課は「第二波に備え、県民が県内全域で迅速に検査・分析を受けられる環境になった。迅速な診断は感染拡大の抑止につながる」としている。■本格運用は8月以降PCR検査までの流れは【イメージ図】の通り。発熱者は帰国者・接触者相談センターか、かかりつけ医などに電話相談する。発熱外来を経由するなどして帰国者・接触者外来を受診し、医師の判断でPCR検査を受ける。県は帰国者・接触者外来を県内三十九カ所に設置している。検査機器の配備先とした十医療機関は、各二次医療圏で帰国者・接触者外来を担っている。医師が検体を採取した後、検査技師が分析にかける。一時間以内で結果が判明するため、患者はその場で陽性か陰性かの診断を受けられる。分析時間の短縮に加え、検体輸送が不要になるため、医療機関で即日診断ができる。これまでは検体を県衛生研究所(福島市)などに輸送した後、さらに分析に数時間を要するため、検体採取の翌日に検査結果が分かるケースもあった。ただ、世界的に感染が拡大する中、分析に必要な試薬が手に入りにくい状況となっており、本格的な運用は八月以降になるという。

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