介護報酬に「引き上げ特例」 新型コロナ 国が同意前提で算定容認


厚生労働省が今月から利用者の同意を前提に、介護事業者が提供するデイサービスとショートステイの一部について、時間区分を実際より2段階引き上げて介護報酬を算定、申請していいと認めていることが24日、分かった。新型コロナウイルス感染対策で収入が減った事業者の支援が狙いだが利用者の自己負担は増す。経済的余裕がなくなり必要なサービスが受けられない人が出る可能性もある。
 事業者は毎月、介護サービスの提供実績をまとめて国民健康保険団体連合会に請求し、介護報酬を受け取る。介護サービスに掛かった経費の残り1〜3割は利用者が所得に応じて負担する。厚労省は1日、デイサービス(通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護及び介護予防認知症対応型通所介護)とショートステイ(短期入所生活介護、短期入所療養介護)の6サービスの提供者に介護報酬算定の特例を許可した。
 上伊那郡南箕輪村のケアマネジャー田本真喜子さんによると、例えば「7時間以上8時間未満」の通所介護を月14回利用する要介護2で自己負担1割の高齢男性の場合、14回のうち3回について事業者が2区分上の「9時間以上10時間未満」で介護報酬を算定すると、男性に月192単位(1割負担なら192円)の追加支払いが生じる。男性が既に他のサービスも含め要介護2の利用限度額ぎりぎりまで使っていて、特例適用により限度額を超えれば、超えた分は男性の10割負担となる。
 田本さんは「日頃世話になっている事業所に求められれば断れない人もいる。自己負担が積み重なれば訪問介護や福祉機具レンタルなど別のサービスを受ける金銭的余裕がなくなる可能性がある」と懸念。厚労省老健局振興課は「感染対策に事業所が費やした時間を評価する措置。利用者の負担は増えるが、施設存続でサービスを受け続けられるメリットがある」とする。
 県介護支援課によると、特例を利用できる6サービスを提供する事業所は、4月1日時点で県内に1538ある。

(6月25日)

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