再発B型肝炎2陣敗訴 除斥起算点は「初発時」 福岡地裁判決


 集団予防接種を原因とするB型肝炎患者の救済を巡り、賠償請求権が消滅する除斥期間(20年)の起算点を最初の発症時とするか、再発時と捉えるかが争われた訴訟の第2陣判決で、福岡地裁は23日、起算点は初発時と判断し、福岡県内の慢性肝炎患者5人の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。

 弁護団によると、慢性肝炎は沈静化することが多く、再発は1~2割。原告側は「低確率の再発を予測することは不可能だ」と主張し、国側は「原告らは初発時点で賠償請求するべきだった」と反論していた。

 判決で足立正佳裁判長は、慢性肝炎について「現代の医学では長期持続し、または再発の可能性がある疾患と認識されている」と指摘し「再発によって質的に異なる損害が生じたとはいえない」と結論付けた。

 2陣では原告5人のほか、慢性肝炎が20年以上続く2人も賠償を求めたが、地裁は請求を棄却した。

 同様の訴訟では、2017年12月の福岡地裁判決が再発時を基準として患者を広く救済する初判断を示したが、福岡高裁が19年4月に取り消した。今年6月の広島地裁判決でも原告側が敗訴している。

 B型肝炎訴訟を巡っては11年に国と原告側の基本合意が成立。特別措置法で慢性肝炎患者には1250万円が国から支払われるが、発症から20年以上経過した場合は150万~300万円とされている。

 (鶴善行)

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