<新型コロナ>電話診療に困惑の声「行ってない」 県、追加調査せず…HPに取り止めた医療機関も掲載


新型コロナウイルス感染拡大対策で国が初診でもオンライン・電話診療を可能とするなど制度を見直したことを受け、県がホームページ(HP)上で公表している「電話や情報通信機器を用いた診療を実施する医療機関」の一覧に掲載された医療機関の一部について、利用者から「実際は電話診療を行っていない」と困惑の声が上がっている。利用者の一人は電話診療を断念して直接受診に切り替え、県に対して正確な情報提供を求めている。基礎疾患を持つさいたま市の30代男性は今月初め、37度以上の発熱があり、PCR検査を希望して県サポートセンターや保健所に連絡。具体的な医療機関の紹介はなかったものの、医師の判断を仰ぐよう指示された。男性は「万が一感染していた場合に院内感染を招きたくない」と県のHPの一覧に掲載された市内の3医療機関に電話したが、いずれも「オンライン・電話診療は行っていない」と回答されたという。電話診療を断念し、直接受診することを決めた男性は「保健所が病院を指示してくれるか、県がHPで医療機関を紹介していなければ、もっと早く受診できていたかもしれない。県は正確な情報提供を行ってほしい」と苦言を呈した。埼玉新聞が当該の3医療機関に確認したところ、二つの医療機関は「以前は初診でも受け付けていたが、現在は再診のみ」「緊急事態宣言解除に伴い、初診の電話診療は終了した」と答え、残りの医療機関については休診日ではなかったが、電話はつながらなかった。県医療整備課は「HPの一覧は4月時点で電話診療の実施を申告した医療機関。その後、追加調査をしていないので、取り止めたところも残っている」と説明。この件を巡り、男性以外の県民からも苦情が寄せられているといい、「電話や情報通信機器を用いた診療を希望する際は、受診の可否を医療機関へ必ずお問い合わせください」とする注意書きをHPに付け加えたとした。国は4月に都道府県や保健所設置市などに対して電話診療などの「時限的・特例的な扱いについて」とする通知を出し、都道府県に実施医療機関を周知するよう指示、3カ月置きに検証、評価を行うとしている。同課は「県が独自に実施医療機関の実態の調査、一覧の修正を行う予定はない」としつつも、「改善点があるのは事実。国から新しい方針が示されれば対応したい」と述べた。

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