避難所の感染症対策、繰り返し消毒を 片付けでも要注意


新型コロナウイルス感染症が広がるなかで発生した今回の豪雨災害。避難所の感染症対策のほか、水につかった家屋や泥を片付ける際にはカビや破傷風などにも注意する必要がある。日本医師会などは、新型コロナ感染症時代の避難所マニュアルを策定。災害で避難を余儀なくされている人たちや運営する側に感染症対策を呼びかけている。避難所では密を避け、他の家族との間や通路を1メートル以上あける。ドアノブやトイレは繰り返し消毒し、できるだけ換気する。食中毒が増えるため、食事はなるべく加熱し、個別に配膳して手渡しせずに机に置く。東北大の吉田真紀子助教(感染症疫学)は「不安で誰かとおしゃべりしたい時もあると思う。マスクをつけて、なるべく短時間にするなど工夫して」と話す。東北大は、東日本大震災などの経験をもとに、避難所での対策などをHP(http://www.tohoku-icnet.ac/shinsai/hotline.html)で公表している。水につかった家屋や泥の片付けも感染症の危険がある。日本環境感染学会などによると、細菌やカビを吸い込んでアレルギーになったり、けがをして破傷風にかかったりする恐れがある。ゴム手袋やマスクをつけ、肌が露出しない長そで長ズボンにする。土砂をかき出した後はしっかり乾燥させる。コンクリートの基礎が乾くのに1カ月かかるという研究もあるという。家屋の消毒は、家庭用の塩素系漂白剤に使われている次亜塩素酸ナトリウムが有効だ。霧吹きだと吸い込んでしまうので、布に染み込ませて拭くようにする。浸水住宅の衛生対策と消毒方法についてはHP(http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content_id=19)で公開している。吉田さんは「災害時は普段と環境が違い、疲れから免疫も低下している。感染症が広がりやすいので、普段以上に注意してほしい」と話した。(藤波優)

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